彼女の誕生日ってさぁ、いつもボーナスの後なんだよね...
なのに、何故かいつも決まって、居酒屋で乾杯!って...
たまには、盛大に祝ってあげたいのに。そういって、ボーナスが出て直ぐに、後輩を連れてキャバクラに行っては、
いつも指名しているキャバ嬢のまおに愚痴を言う俺、秀樹。
プレゼントといっても、会社の近くにある花屋に、3000円位でアレンジしてもらう
花籠くらい。
今年もきっと、同じように迎えてしまうんだろうなぁ、と落ち込んでいた、
彼女の誕生日当日。
珍しく、上司から声を掛けられ
昼休み、メシ一緒に食おうか。いつも仕事では、喧嘩になるほど意見を闘わせている上司なのだが、
はいっ! かしこまりました。俺は、元気に応えてみせたが、内心は...
転勤の内示でもあるんだろうか?などと、不安に苛まれていた。
昼食中、2人で他愛もない話をしていたのだが、ふと上司が内ポケットから
一通の封筒を取り出し、俺に手渡してきた。
何でも、奥様の誕生日のお祝いにと、某高級ホテルのスウィートの予約を
とっていたようなのだが、その時期にちょうど夏休みがとれ、海外旅行に
行くことになったので、そのホテルの予約クーポンをくれるというのだ。
普段、何もしてやれなくてごめんな。
他に頑張ってくれている連中には、メシを奢ったり、プレゼントをあげたりしてるのに。
ヒデキには何もしてやってなかったもんな。
お前が一番頑張ってくれてるのは知っている。ワシの気持ちじゃ。と。
大粒の涙が、一粒、二粒、、、頬をつたって落ちた。
ちゃんと、俺の仕事ぶりを評価してくれていたんだと。
幾度かご遠慮申し上げたが、他の誰にもプレゼントする気はないのだと。
そして、キャンセル料がもったいないし、売る気もサラサラないと。
何より、自分を支えてくれる人達を大事にするお前だからこそ、偶には、
彼女を喜ばせてあげなさい、と。
俺は、上司の心遣いを、気持ちを大切にしたい、との想いでクーポンを受け取った。
そして、彼女を誘った。
1泊数十万はするという、その高級ホテルのスウィートに。
窓辺で夜景を背景に、彼女の肩を抱き寄せ、唇を重ねた。
美紗子、誕生日おめでとう...
いつも俺を支え続けてくれてありがとう...
これまでの感謝の気持ちを目一杯込めながら...
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